私の体験談 その2

 レッスンを続けた結果、40年かけて作った身体の鎧がスコーンとはずれたような体験を得ました。
 
 一番強烈だったのが2006年11月3〜7日に京都で行われたフランク・ワイルドマン先生のフェルデンクライス・メソッド・ワークショップです。私はこの5日間で、24年間勤めた会社を辞めて、フェルデンクライスメソッドの道を歩むことを決めました。

 最初の1、2日目は身体全体がゆるみ、3、4日目に38.5度の発熱悪寒で意識もうろう状態で毛布にくるまりながら参加、最終日は37度位でぼんやりとレッスンを受けました。
 (高熱でも参加したのは参加料がもったいないからという理由だけなんですが…)

 そりゃもう…脳内はハイビスカスが満開の南の島の沖の小船の上で、ゆるやかな大波に揺れながら、盆踊りを連日踊っているようなかんじでした。

 
 フェルデンクライスでは「頑張らないで下さい」と先生が声をかけます。本人は頑張っていないつもりでも、外からみるとすごく力が入っている様子がわかります。

 私の場合、高熱でも出さない限り「頑張ること」「力を抜くこと」は一生、手放せなかったんでしょう。フラフラになりながら「シコを踏む姿勢」をした時に初めて「頑張っても力が入らない」ことを学びました。
 

 ただ…翌日から職場に戻ったら、頑張る私が力強く働きはじめました。あぁ悲しい…。
 
 せっかくレッスンで学んでも、日常生活に戻ると長年の慣れ親しんだやり方で身体を動かしてしまうので、鎧が薄〜く身体にへばりついてくるのがわかります。
 わかるということはそれだけ繊細な感覚が身についたともいえますが、学んだことを即実践できる自分(脳)には、まだまだなっていないわけです。 
 
 身体の痛みは他人に治してもらえますが、その痛みを作った習慣は自分しか直せません。身体の内側から観察できるのも自分だけです。  
 私は頑張りすぎている自分に気がつくと休憩や違うやり方でチャレンジできるようになり、自分の選択や行動に自信がつきました。免疫力も高まったようで、風邪もひかなくなり、アトピー、目、首、肩、腰ともお医者様に頼らなくても、うまく自分の中で観察をして調整ができるようになりつつあります。
                       (つづく)